特別展の見どころ

平安時代中期は貴族の美意識が高揚した時期です。この時代の美術や工芸は華麗で繊細であり、その特徴は「善美を尽くす」と評されます。この時代の姫君や女房たちの装束に目を向けると、記録からは衣を組み合わせたかさねの色目で季節感を表し、身分や年齢に応じて儀式の空間を際立たせていた様子がたどれます。日常の場も含め、姫君や女房たちの装束は王朝文化を語る上で大きな役割を担っています。
 この特別展は、往時を再現した展示等を通じて生きた歴史の体感・文化財の理解を促進する文化庁のリビングヒストリー促進事業「王朝文化体感プログラム」の一環として開催するものです。王朝美に根ざした平安時代中期の女房装束を取りあげ、装束と空間演出の再現展示を通して、王朝文化を体感していただく機会を創出しようとするものです。
 平安時代中期の装束は実物が遺っていないため、日記や有職故実書などの文献をはじめ、物語、和歌、絵画を手がかりに装束を復元し、袖や裾を御簾(みす)の下から覗かせる打出(うちいで)の再現により、姫君が住まう空間とその場の様子をイメージしていただくことを目指しました。打出は装束の美しさや麗しさを見せる方法であり、アイデンティティのほのめかしとも言い換えられます。装束への興味と理解を促すために、関連する絵画や故実書なども併せて展示いたします。
 場を華やかに彩る打出の効果や意義に触れていただき、姫君や女房たちの姿と美意識を体感していただきたいと願っています。

主な展示品

「復元装束と打出の再現」

「扇面法華経」模写本 1巻 昭和時代(京都市立芸術大学付属資料館蔵)
「源氏物語絵巻」模写本 1巻 昭和時代(京都市立芸術大学付属資料館蔵)
「類聚雑要抄図巻」1巻 江戸時代後期(斎宮歴史博物館蔵)
「源氏物語須磨巻」1巻 住吉廣行筆 江戸時代後期(斎宮歴史博物館蔵)
「女官飾抄」1冊 江戸時代(斎宮歴史博物館蔵)他

※会期中、一部出品物の展示替えがあります。